ライトな二人ー34ー












私をミロが送ってくれて別れた後、ミロは城戸邸に帰っていった。





朝ギリシャに向かっていったミロが今夜に帰って来た。


ミロが傍にいないその間、あんなにミロに会いたいって思ってたら、本当に今日中に会えた。



嬉しい。

すっごく嬉しい。



見慣れた自分のこの部屋が初めて住む部屋のように真新しく感じる。



足取りも軽く狭い部屋の中を移動していると、ミロに会うまで感じていた空虚感なんて何処かへ飛んでいってしまっている事に気付いた。




「私って現金・・・。」




ソファに座って落ち着いても、考えるのはミロの事。



だって信じられない。



沙織に言われて、一緒にギリシャに行ったミロを好きになって。

一度はミロの事は見ているだけで、別に思いが伝わらなくてもいいと思ってたけど。

まさか、ミロも私を好きになってくれたなんて。

それってすごい事だと思う。



仕事でいつも会う男の人達は何とも思わないのに。

ミロは初めて見た時から世間の男性とは違うと感じた。

それは彼が身を置く特殊な世界によって培われたものだと、今は思えるけど。



ミロは私のどこを好きになってくれたんだろう。

どこでもいる平凡な私なのに。


それに引きかえミロはなんて素敵なんだろうって思う。


背は高いし、格好良いし、声も素敵だし。


それに聖闘士っていう事で格闘家って訳じゃないけど、逞しいし。



あ、まずい。

何度か触れた時のミロの腕や胸板の厚さを思い出して勝手にドキドキしてきた。


その胸の鼓動に連鎖反応するように、は突然バルコニーでの夢が甦ってきた。


日本に帰って来てから忘れていたけど。


(あれってかなり恥ずかしい夢だ。)

夢でとはいえミロとキスするなんて。


でも、これからそれが現実になる可能性大・・・だよね。


ミロとキス


うわー!

うわー!!

うわー!!!(;□;)


い、一体どういう状況や流れでミロとそうなるの!



・・・恥ずかしくて想像出来ない。



恥ずかしさで顔を赤くしながらも、ミロの事を考えていられるこの時間が楽しいと思うだった。










翌日のお昼休み。

はミロと一緒に外で食べていた。

ちょっと風が強いと思うけど、天気は良い日だった。



隣に座っているミロを横目で見ながら、お弁当を食べているけど、ミロが傍にいるっていうだけで嬉しくて胸が一杯で、正直お弁当なんて味わっている余裕なんてない。

味なんて分かんないけど、緊張を紛らわすように箸だけはどんどん進んでいく。


「もう少しゆっくり食べたらどうだ。そんなに急いでは胃に負担がかかるぞ。」

缶のお茶を飲んでいたミロはこっちを見て可笑しそうに笑っている。

ぐっ、との箸が止まった。


(今、好きな人に指摘されるにはかなり恥ずかしい事を言われてしまったかも。)


「昼休みはまだたっぷり残ってるぞ。」

「わ、分かってます。別に急いで食べてた訳じゃ・・・。」

「それならそんなにその弁当が美味しかったとかか?」

(違うっっっ。)

叫びたいのを必死に堪えて、は胸の中で思いっきり否定した。

否定の意味を込めた目でミロを見ると、ミロはますます可笑しそうに笑っている。

(楽しそうだな、ミロ。)

ミロが一緒にお昼を食べようと誘ってくれて、今は二人だけ。

昨夜考えていた事を思い切って聞いてみようか。

周りには誰もいなくて聞かれる心配もないし。ギリシャに行く前のミロも、帰ってきたら話そうって言ってたしな。

今がそのチャンスかも。

・・・・・。


「ミロ。」

「何だ。」

「あの・・・・・。」


(自分の何処を好きになったなんて、聞き辛いな・・。)


「・・・その・・・。」


この口篭り、視線はキョロキョロ。

これは何か言いにくい事を言おうとしているな、とすぐに察したミロだったが、の様子が微笑ましくての行動を黙って見ている事にした。

幾度か口篭ったが、少し遠慮がちに聞いてきた。

「ミロは・・・私のどこを好きになってくれたの?」

聞いた事に対して、は不安そうに瞳を揺らしている。

(可愛いことを聞いてくる。)

息を殺してじっと自分を見ているが可愛くて、自然と自分のを見る瞳が和らいできたのをミロは感じていた。

こんなにも穏やかに見つめる事が出来る相手とは、俺にとってなかなか現れないだろう。

付き合いの長いカミュやアイオリアたち黄金聖闘士達に対する視線とは違う。

敬愛するアテナに対してとも違う。

全く別の種類。

「そうだな。」

少し考えるように視線を逸らした。

ミロが自分の何処を好きになってくれたのかを話し始め、自分で聞いておいての鼓動は早くなってきた。





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ミロとご飯〜(^▽^)。好きな人の前で食べるって、最初は勇気いるんですよね。だって大口開けて食べられないじゃないですか(笑)それに緊張してせっかくの味が半減ですよ。