空港に着くと、さっそく搭乗手続きを済ませる。 グラード財団所有の小型ジェット機で向かうため、待ち時間はほとんどなく搭乗できた。 搭乗客は勿論、とミロだけである。あと、女性の接客乗務員が一人。 この小型ジェット機はも仕事で時々使用させて貰っているため、にとっては勝手知ったる機内だ。 リムジンの中で少々緊張して疲れ気味のは、シートに座ると心の中でほぉっと息を吐いた。 シートベルト着用の機内アナウンスが流れそれに従うと、間もなく小型ジェット機は離陸を始めた。 安全域まで達するとはすぐにシートベルトを外す。そこでふと、思い立った。 「ミロ」 後ろに座っているミロを振り向くと、ミロもこちらを見る。 「なんだ?」 「ミロはいつ日本に着いたの?」 なぜそんな事を聞くのかと思いながら 「昨日の夕方だ。」 は驚く。昨日に続きまた飛行機での長距離移動は中々ハードだと思う。 「随分な強行軍ね。もっとゆっくり来れれば良かったのに。じゃあ、昨夜は城戸低に泊まったのね?」 「そうだ。まあ、強行軍は仕方ないだろう。あなたのギリシャ行きは急遽決まった事だからな。それに、特に疲れてはいない。」 体力あるんだぁと納得しながら、気になっていた事を言った。 「ねえミロ。"あなた"って呼ばれるの、慣れてなくてなんか恥ずかしいから、""って呼んで。私もミロって呼んでるし。」 「そうなのか?"あなた"とは他人に呼び掛ける時の丁寧な言葉だから、アテナの友人であるあなたには、使って当然なのだが。」 「そうなんだけど、・・お願いっ!」 本人から強い口調でお願いされてはミロに拒む理由など無く、の願いを聞き入れた。 「分かった、。しかし、君は思っていたよりも、普通の女性なのだな。」 「ど、どういう意味?それ。」 「秘書と聞いていたので、もっとすましたお嬢様タイプと思っていたのだ。」 まだ会って少ししか話していないが、がそんなお嬢様な性格でない事は、ミロにはよく分かった。 「え〜なにそれ。」 自分がそのように思われていたとは、は可笑しくて吹き出した。 「同じ秘書課の中には確かにそうゆう人もいるけど、ほんの僅かだよ。」 先輩達の顔が浮かぶ。 最初よりはかなりミロと打ち解けたは、聖域の事や、他の聖闘士の事も聞いたが、ミロはそれについては簡単に答えたのみだった。 が知っている世界とは程遠いから、目で確かめるのが一番だと言う。 一体どんな所よ、と言いたそうな顔のに薄く笑いながらも、それ以上は聖域については話さなかった。 もそれ以上は聞いても無駄と思い、仕方なく前を向いた。 その後は備え付けの映画や音楽鑑賞、うたた寝、ミロと時々話したりした。 ミロは、機内食を絶賛していた。 そして、やっとギリシャに着いたのである。 ギリシャは今、お昼を少し過ぎた頃で、快晴だ。 「昼に日本を出て、昼にギリシャに着くなんて、時差って不思議よね〜。」 両手を上げて体を伸ばしながら、呑気な声でが言った。 ギリシャは日本より7時間遅れの時差があり、日本とギリシャは約7時間のフライト時間で行き来できる。 「疲れたか?」 「うん、少しはね。」 「では、もう少し疲れてもらうぞ。小型機で聖域まで行くからな。」 げっという表情と一緒に、時間掛かるの?と聞くと、1時間も掛からん。と返ってきた。 入国手続き後、外に出ると待っていた小型機に乗り込み聖域に向かって行った。 Next メニュー |