ライトな二人ー27ー













君が俺と同じ気持ちなのは本当だろうか。

きれいに染まった君の頬を見て、俺は勝手にそう思ってしまったが。

君から直接聞いたわけではないから、本当かどうか分からない。




物心ついた時から、アテナとは、聖闘士とは、と教えられてきた俺にとってはアテナとの関係は信じられない事だった。

だが、あくまで自然体なアテナとを、微笑ましく思えた。




しかしあの夜。



眠っている君に思わず触れてしまったあの夜。


あどけない寝顔が

時々見せる困ったように頬を染める君が


アテナにとって大切な姉の君は、俺にとって愛しい存在に変わった。



君も俺を好きでいてくれたら、俺の全てをかけて君を思う。


違っていたら


俺の全てをかけて君を振り向かせる。




そこまで考えて、フッと笑いがこぼれる。


君が欲しくて見境がなくなりそうだ。


こんな俺を、は怖がったりしないだろうか。


「仕方ない。」

自分の気持ちに言い聞かせるように言葉に出す。



聖闘士として生きている俺も所詮男だ。

しかも初めて味わう感情なのだから。



これが"恋する"ということか。








ミロに対して自分なりの決意を固め、これからは普通にミロと話せると思っていたんだけど。

北海道から帰ってきてからのミロの様子がどこか変わったと思う。

前よりやさしくなった。

ミロが冷たい人、とは思っていないけど、目がやさしくなったと思うのは私の気のせい?

そういうミロの変化に気付いてしまったことに、また自分の胸が騒ぐのが分かって、 はもう溜め息しか出てこなかった。








仕事の合間のちょっとしたお喋り。

少しの時間だけならと思って沙織と話し始めたけど、もう25分くらい経ってる。そろそろシュラ達が沙織の戻りが遅いと痺れを切らす頃だろうか。

でも、例えあの3人が沙織を連れ戻しにやって来たとしても、簡単にはここに入って来れないだろう。

なにせここは男子禁制、女子トイレなのだから。




さん、仕事が終ったら私の家に来ませんか?」

それは時間の経過を気にし始めた時の沙織のお誘いだった。

「城戸邸に?別に構わないけど、どうして?」

「久しぶりに仕事以外でさんと話したいんです。ギリシャでは予定外で早く帰国する事になってしまったし。」

ギリシャでゆっくりと過ごす予定でいた沙織は、誘拐騒ぎで早く日本に戻って来たことに、その時はかなり残念がっていた。

そのことをは思い出した。

「だめですか?」

城戸邸はにとっては父親の実家になる。

何度も行き来して慣れているので何も問題はない。

がにっこり笑う。

「全然問題ないわよ。私も城戸邸は久しぶりだし、喜んで行くわ。」

「良かった。さんの好きなケーキを用意してますからね!」

楽しそうにはしゃぐ沙織の様子にも楽しくなってきた。

ちらっと時計を見ると本当に戻った方がいい時間だ。

「沙織、もう戻った方がいいかも。」

「え、もうそんなに時間経ってますっ。」

女同士のお喋りもお開きになり、沙織は総帥室に、は秘書室にそれぞれ戻って行った。





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前回の26話からアップまで日が開いた割には短い・・・。
でもそろそろミロが動く・・予定。気合を入れて書かねば(>_<)