ライトな二人ー25ー












やって来ました。

北海道に。

着いたのは遅い夕方。

さっそくホテルに向かいチェックイン。

ホテル内のレストランで食事をしながら、明日の打ち合わせを終えるとそれぞれの部屋で休む事に。





翌日。

財団直営の施設の視察が目的である今回の訪問。

「シュラ、カミュ、ミロ、ちょっといい?」

3人を呼ぶと、なんだという風に私の方に来た。

「館内に入る前に、これ渡しておくね。」

私が持っているのはストラップ付きのプラスチックケースに入っている三枚のカード。それぞれにそのカードを渡していく。

「皆の身分証だから、肌身離さず持っていてよ。」

一応念を押しておく。

「付けていないと駄目なのか?」

気が重そうにシュラが自分の写真を見ながら言う。

やっぱりそうきたか。
シュラような反応はある程度予想出来ていた。

「あのね、3人共自分の姿をどう見てる?」

3人は「は?」と私を見る。

「自覚があるか知らないけど、3人共日本ではすごく目立つ外見です。そんな目立つ人が財団総帥の視察日に身元不明でふらふらしていては、不審者扱いされかねないですからね。」


「身元不明・・。」

「ふらふらとは・・。」

「不審者って、酷くないか。」


シュラ、カミュ、ミロのそれぞれの呟きは気にせず、続ける。

「それ程皆は目立つって事なんです。それに、身分証携帯は組織の中では常識なので必ず身に付けて下さいね。沙織や私も付けているんですから。」

私は「 」と書かれた身分証を3人に突きつけた。

やや間が空き。

シュラが「分かったよ。」と諦めたようにストラップを首に下げた。

ミロ、カミュもストラップを下げる。

沙織がニコニコしながら3人を満足そうに見ている。

「やはりさんに来ていただいて良かったです。辰巳なら乱闘になっていたかもしれません。」

沙織と私はふふ、と笑い合った。






沙織と私が施設長の説明を受けながら館内を周り、シュラが私たちのすぐ後ろにいる。

ミロとカミュは私たちとは別に、館内と外にそれぞれ散り、不審な人物、動きがないかチェックしている。

すぐ後ろにいるシュラにそっと話し掛けた。

「何か気になる事はある?」

「いや、今の所はない。」

「そう。」



シュラを後ろに感じながら、護衛がシュラで良かったと思う。

これがミロだったら、自分は落ち着いて沙織の傍に居られなかったに違いない。




諦めるって決めたのに、どうも駄目みたい。


私って、やっぱりミロが好きなんだ。


諦めきれない自分の心に苦笑いが出る。


今までも好きな人はいたけど、それは諦める、忘れると思えばそう出来た恋だったと、今では思う。



ミロに関しては違うみたい、とめられそうもない。



でも。


ミロには何も求めない。


彼の使命を邪魔したくない。


彼の負担になりたくない。



私は、"アテナの友人"。


それ以外の存在にはならない。


私はミロへの思いを確信し、誓いを立てた。





Next

メニュー





なんか、堂々巡りしてるような(汗)。