ライトな二人ー24ー










「皆さんのご挨拶が終った所で本題に入りますね。」



沙織の方に私たちが向き直った。



「私はこれから北海道に向かう仕事があるので、シュラ、カミュ、ミロにはそれに同行して頂きます。」

シュラ、カミュ、ミロの3人が頷く。


沙織の予定は私も知っていたため、頷いた。



「そして、さん。」


「え。」

さんにも一緒に来て貰いますね。」

「ええっ!」



思わず大きな声を出してしまい、3人の男達が一斉にこっちを見た。



「ちょっと待って!」

「はい?」

「北海道には私ではなくて辰巳さんが行く予定だった筈でしょう!」


慌てている私とは正反対に、沙織は少しも揺るがない。


「辰巳には別の仕事を頼みました。」

「どうしてその代わりが私なの!他に人はいるでしょう。」

さん。今回はシュラ達黄金聖闘士も一緒なんですよ。彼らの特殊性を考えれば、面識のある人の方がいろいろ都合が良いのです。その点で言えば、さんは黄金聖闘士の事を知っているので問題ありませんし、適任だと思います。」


うっ、確かに。

沙織の言う事はもっともだと思う。


沙織の護衛として行くのだから、沙織の身に何かあったら全力で護るだろう。


聖闘士の力を使って。



そうなると彼らを何も知らない人が傍に居ては面倒な事になるかも知れない。



だから事情を知っている私が行けばオールオッケーなんだろうけど。



けど・・・。



それなら最初の予定通り辰巳さんが行けばいいのに!


そう目で訴えてみるが、沙織は首を少し傾げて、お願いするような目で見ている。

考えを変える気は無いと見た。

言いたいことはあったけど仕事で、しかももう決まってしまった事なら仕方がないと思い、決定事項に従うほか無い。


「分かりました。」


私の返事に沙織がほおっと安心したように溜め息をついた。


「良かった。ありがとうございます、さん。」

「私が断るなんて思ってなかったでしょう。」


なんだか納得出来なくてささやかな仕返しとばかりに少し嫌味っぽく言ってみた。


「確かに、さんが断ると思っていなかったのは本当ですけど。あちらでの仕事はさんには問題ないと思います。」

「はい。という訳で、私も北海道に行く事になったので改めてよろしくお願いします。」


3人にぺこりとお辞儀をした。


「いや、顔見知りが居た方がこちらとしても色々助かる。しかしすまないな。我々が行くからも行く事になってしまったのだろう。」


カミュが気遣うように言う。

沙織との会話で、私が予定外の同行を知らされたことに気付いたみたいだ。


カミュに余計な心配をさせまいと明るく言った。

「ううん。予定が変わる事はよくある事だから気にしないで。」


仕事の予定が変わるのは全然構わないんだけど。


視線を少しずらせば、ミロと目が合う。


ミロが柔らかく微笑んでいた。


かっこいいと思わずにいられない。


思い出の中のミロより、やっぱり現実のミロの方が数段かっこいい。

今でさえこんなにどきどきしているのに、一緒に北海道に行って私の心臓だいじょうぶかな。

ずっとどきどきいってそう。

私は胸の内を悟られないように言う。


「沙織の事、お願いします。」

黄金聖闘士3人は勿論だと言うように、力強く頷いた。













はアテナと本当に仲が良いのだな。」

3人だけになった時、シュラが2人に向けて言った。


「アテナは青銅たちとも親しいが、それ以上だ。」

「そうだな。戸籍上は血縁関係でもあるし、幼い頃からの付き合いもあるようだし。」

「あとは、同性だからだろうな。アテナはを姉のように慕っているようだし、もアテナの事は妹のように思っている節がある。」

ミロの言葉に、シュラとカミュは同感だと頷いた。

「天蠍宮で並んだ2人を見た時は、まるで姉妹のように思えたからな。」


「まあ、が居てくれた方が、余計な気遣い無く任務に専念できるな。」

「うむ、はあまり乗り気ではない様子だったがこちらとしては有難い。」


シュラとカミュはの同行に感謝していたが、ミロだけはそれとはまた別の思いで、が一緒である事に喜びを感じていた。





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