ライトな二人ー23ー 日本に帰国して一週間。 アテネ市内にある企業からは何も反応がなく、総帥誘拐が未遂に終わり手を引いたらしい。 至極何もなく日々が過ぎていった。 「黄金聖闘士が護衛として来るっ!」 総帥室の椅子に座っている沙織に向かって大きな声を出した。 今は私と沙織の二人しかいないため、口調がいつもの様になっていた。 「はい。」 沙織はニッコリ笑っている。 「誰が来るの。」 私は内心どきどきしながら聞いた。もしかしたら、彼が来るかもしれない。 そう思うだけで胸が熱くなって来る。 「それは来てのお楽しみですよ。さん。」 「そんな焦らす事じゃないでしょう。何よ、楽しみって。」 誰が来るのか教えてくれない沙織に少し苛立ちを感じて棘のある言い方になってしまう。 そんな私の様子に沙織は面白そうに言った。 「あら、黄金聖闘士の誰が来てもさんが心配するような事がありますか?」 ううっ。 ミロが来るかどうか気になるなんて言えないっ。 「別に。ないけど。」 沙織は私の心の内を知ってか知らずかニコニコ微笑んでいる。 「それでは問題ないですね。明後日来ますから。」 明後日。 総帥室を後にすると、秘書課へ歩いて行く廊下で、ミロが来るかもしれないと思うだけで頬が熱くなるのを止められなかった。 あの夜。 あれは本当に夢だったのだろうかと、リアルに残るミロの声や感触にそう思わずにはいられない。。 でも、あれが夢ではなくて現実のことだったらそれはそれで困る。 「また顔が熱くなって来た・・。」 日本に戻って来てから、仕事に打ち込んでミロを忘れることもあったけど。 こうしてミロを少しでも思い出した途端に、心をミロに占領される感覚に陥る。 どうしてここまでミロに惹かれるのだろう。 ミロの顔、格好良いと思う。 ミロの声、低くて好き。 ミロの性格、限られた時間でしか知らないけど乱暴ではなく優しいと思う。沙織も信頼を寄せているし。 聖闘士というだけあって鍛えているし、長い金髪も似合っているし、背も高いし。 何よりミロの一番の魅力と思うのは、初めて会った時にも思ったけど、自信に満ちた瞳。 ・・・私って重症。 ミロが好きだという、自分の隠しようのない気持ちを再確認してしまった。 がっくりと肩を落として秘書課の自分の席に座った。 2日後、黄金聖闘士が日本に来た。 カミュ、シュラ、そしてミロ。 「今度は我々がから分からない事を教えて貰う番だ。よろしく頼む。」 カミュの差し出された手を始めに、順番に3人と握手を交わす。 「こちらこそお願いします。」 「・・・よろしく。」 「シュラ、もう少し笑った方がいいと思うな。」 「、これでもシュラは大分表情が出てきたんだぞ。なあ、シュラ。」 ミロに振られたシュラは抑揚の無い声で、さあな、と言っただけだった。 「。」 シュラを見ていた私にミロが声をかけてきて、なるべく平静を装ってミロの方を見る。 本当はさっきから心臓が鳴りっ放しだった。 「意外と早く再開出来たな。暫くの間よろしく。」 ミロと二度目の握手。 ミロの手が熱く感じられた。 Next メニュー ミロが来ない事には話が進みませんからね。残りのカミュとシュラは比較的動かし易いキャラと認識しているので登場です。他にもそういうキャラはいるんですけど、まあ何となくこの二人になりました(^^ゞ |