ライトな二人ー15ー












体に感じた衝撃は一瞬のことで、周りの景色は先程と違っていた。

「着いたの?」

恐る恐る独り言のように言う。

「ああ、着いた。」

「うわっ!!」

何気ない呟きに答えが、しかもすぐ近くから聞こえてくるとは思わず、は可愛げのない悲鳴をあげてしまった。

しかも今は、ミロの腕の中にいる。急に抱きしめられている感覚がはっきりとしてきて慌ててしまう。

「あっ、ありがとう!もう大丈夫!」

慌ててミロの腕の中から出ようともがくと、ミロは静かに腕を離した。

の素直な反応に自然と頬が緩んでくる。

「どうだ?光速で移動した気分は。」

「う〜ん、どうと聞かれても、本当に一瞬であっという間だったから、不思議・・・かな。」

ーーーーー光速移動うんぬんより、ミロと急接近の方がびっくりだってばっ!人の気も知らないで。

早鐘を打つ胸を鎮める努力をしながら心の中で思いっきり叫ぶ。

とりあえず、気を取り直してミロに聞いた。

「ここ、どの辺りになるの?なんだか山の中って気がするけど。」

「聖域を囲んでいる森の一番外側といったところか。少し歩けば市内に出るし、図書館までも少し歩いてもらうからな。」

「そんな事、全然構わないよ。」

歩きだしたミロの横につきながら一緒に歩き出した。

一緒に歩きだした二人の後姿を見送る形になったカミュは不思議な気持ちになった。

ミロと。随分打ち解けているように見える。

に一番最初に会ったのがミロだから、ギリシャに来るまでの時間に色々話す事はあっただろうから、その分話しやすいのかもしれないが。

それにしても。

私は居ても居なくても構わないような気がする。

カミュが居心地の悪さを感じているとミロがカミュを呼んだ。

「カミュ、何をしている。行くぞ!。」

もミロと一緒にカミュを見ている。

そんな二人の様子は初めて会ったのがつい二日前とは思えない。

カミュはを紹介された時のデスマスクの言葉を思い出した。

デスマスクの言っていたことは当たっているという事か。

「すまない。今行く。」










「個室っていうからもっと狭いと思っていたけど、意外と広いのね。」

個室の中はまあまあの広さの机とパソコン、プリンターとスキャナまであった。

「仕事で使うからには両脇が板で区切られているだけでは集中できないだろう。」

「ありがとう。ミロ、カミュ。」

ミロの心使いにじ〜んとなった。

「気にするな。私とミロは外に居るから。」

「・・・外?ドアの外?」

おもむろにミロとカミュを見る。

外と聞いて、ドアの両脇に立っている屈強な、黒でまとめられたボディガード風のミロとカミュを想像してぶっと吹き出した。

「何を想像したんだ。」

すかさずミロの突込みが入った。

の笑い方からして変な事でも想像したことは分かる。

何でもないと言いながら、は肩を震わせて忍び笑いをしていた。

「まあ、とにかく。私たちはドアの外ではなく図書の閲覧室にいる。」

に何かあればすぐに駆けつけるから、安心して仕事をしていていいぞ。」

「どのくらい掛かりそうだ?」

「ん〜、2・3時間くらいかな。集中しちゃえばもっと早く終ると思う。」

「そうか。頑張れよ。」

「うん、じゃあね。」

ミロとカミュが外に出て行くと、早速机につきパソコンの電源を入れ仕事に取り掛かった。












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