ライトな二人ー1−



は自宅であるアパートで寛いでいた。

間取りは3LDK。21歳の一人暮らしにしては広い感があるが、何分持ち物が多いのだ。

大半は仕事で使う資料や書籍、後は服である。グラード財団総帥秘書という役職のため、
身だしなみにはかなり気を使っている。

一週間前から総帥である沙織がギリシャに行っているため、普段よりはやや仕事にゆとりが
あり、帰宅後、今日もこうして大好きな紅茶を飲みながら本を読んでいた。

突然。

読んでいた本の上に真っ白な封筒が、ハラリ、と落ちてきた。

「・・・え・・」

は呆然とその封筒を見つめ固まった。

おそるおそる手にとって見ると、自分宛であることが分かった。

差出人の名前もあった。

「・・沙織!」

遥かギリシャにいる上司であり、友人でもある沙織からだった。

「ええっっ、どうゆう事よっ?!」

急いで中をあけると便箋が一枚入っている。内容は、

さんへ
 
  突然のお手紙驚かれたと思います。ムウに頼んでテレキネシスで手紙を
  さんの所まで飛ばして貰いました。
  
  お願いがあります。寂しいので聖域に来て下さい。準備もあると思いますの  
  で二日後にお迎えにあがります。

  では、さんが来るのを心よりお待ちしています。

                                沙織 』

「・・・・・(汗)。」

トゥルルル・・・。

備え付けの電話が突然鳴り、は文字通り飛び上がって驚いた。

「な、なによ、もお〜。あ、辰巳さんの携帯番号だ。」

この手紙の直後に、辰巳さんから電話、

「やな予感。」

しかし出ない訳にもいかず、受話器を取った。

「もしもし、です。」

さん、辰巳だ。」

「はい、何でしょう。」

「うむ、沙織お嬢様から手紙が来たと思う。こちらにもお嬢様から手紙が来てな、そういう訳
で色々準備もあるだろうから、明日は休日にするから、準備をしなさい。」

「ちょっっとまって辰巳さん!」

あまりの展開のスムーズさには待ったをかけた。

「いくら沙織の願いでも明日急に休むのは他の人達に迷惑がかかるわ。それに、私なんかが
聖域に行っていいものかも迷うし。」

の戸惑いに辰巳は少し笑いながら話した。

「心配いらん。それにお嬢様はさんに来て欲しいと言っている。聖域にいる誰にも、お嬢様
の寂しさを取り払うことが出来ないという事だぞ。そんなに暗くなるな。」

「辰巳さん・・。」

「どのくらい聖域に滞在するか分からんが、旅行だと思って楽しんで来い。」

「ありがとう。そうね。沙織が寂しいって助けを求めて来てるんだから、友達としては答えなくちゃね。
お土産買って来るね!」

「ああ!」

「それじゃ、おやすみなさい。辰巳さん。」

受話器を戻すと、小さな笑いがもれる。

「なんだかんだ言って、辰巳さんも私も沙織には甘いわね。ふふ。よしっ!」


翌日。

必要なものを買いに出かけたが、普段、日本中を時には海外に出張も多い事から、あまり買う
ものが無く、早々に帰宅し空の長旅になる事を予測してゆっくり休む事にした。


当日。

朝の7時30分。はもう準備が出来てしまっていた。が、

「迎えの時間を聞いてなかったな。どうしよう。」

辰巳さんなら沙織から聞いているかもしれないと思い、電話してみようかなと歩き始めた時、携帯
電話が鳴った。

「辰巳さん。もしもし。」

「朝早くすまんな。そちらに10時に迎えに行くが大丈夫か。」

「ええ、全然大丈夫よ。」

「そうか。10時にミロが迎えに行くからな。お嬢様をくれぐれも頼んだぞ。ではな。」

そこで電話が切れた。

「・・・ミロって・・。あっ!確か黄金聖闘士にそんな名前があったような。」

沙織や星矢たちから聖域の主要な聖闘士の名前は聞かされていたが、面識が無く、ミロとも
今日初めて会う事になる。

「ぅ〜緊張してきた。何話せばいいのよ。」



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さてさて、無事完結するかまだ第1話で始まったばかりですが不安で一杯です(汗)。
でも頑張りますっ!