An equal position 好きな人とはいつでも触れ合いたい。 そう望むのは俺の方だけなのだろうか。 人の目のある所で俺と触れ合うのを、は恥ずかしいのかあまり好まない。 さっきもと話していた時。 「・・・。」 「何?ミロ。」 俺に見つめられキョトンとしている顔が可愛い。 すうとに俺の顔が近づく。 俺が何をしようとするのか分かったは思いっきりうろたえ出した。 「ミロっ、待って!」 手で俺の顔を必死で押さえている。 「ちょと、ここ外だよっ。」 「だから?」 「人に見られるでしょう!」 「構わんだろう?俺たちが付き合っていることは周りは知っている事だ。」 「知ってる知らないの問題じゃなくて、恥ずかしいって・・んんっ・・・。」 の唇をふさぐとそのまま腰を引き寄せ、全身でを感じ取ろうとした。 どのくらい触れ合っていただろうか。 ゆっくりを解放すると、その瞳は潤んでいて目が離せないほど俺を引きつける。 「。」 「・・ミロ。」 「ああ〜、ゴホン。」 突然の第三者の声の乱入にがびくっと体を震わせた。 「シュラか。」 「シュラか、ではない。人の目の多いところで見せ付けるのはやめろ。訓練の邪魔になる。」 シュラが顎で促した先には訓練生たちの姿がある。 数日前、アテナと一緒にはここギリシャ・聖域に来た。 皆一様にミロとの方を見ていた。 これに驚いたのはで、真っ赤になって口をパクパクさせている。 「それは済まなかったな。俺たちは向こうへ行こう、。」 の肩を抱いてその場を離れようとしたら、が顔を上げて俺を睨んできた。 すると、 「うっっ!!」 から繰り出された拳がアッパーとなってミロにヒットした。 情けない声を出してミロはうずくまってしまった。 は肩で大きく息をしながら仁王立ちに立っている。 「・・・ミロの・・。」 シュラ及び訓練生がの動向を黙って見ている。 「〜っミロの、ばかばかばかばかばかあああぁぁぁっ〜〜〜!!!」 捨て台詞を残しては猛烈な勢いで走り去って行ってしまった。 その場に残されたミロを見て、シュラは深々と溜め息をつく。 「ミロ。今のお前には黄金聖闘士の威厳は微塵も感じられんぞ。」 「・・・ほっとけ。」 顎を摩りながら立ち上がると、シュラに毒つく。 後ろを振り返ったシュラは訓練生たちに訓練を再開させるよう指示を出した。 「沙織っっ!!」 現れたの姿にびっくりした。 全力疾走で十二宮を駆け上がってきたため、髪は乱れ、顔は紅潮、肩でゼイゼイと大きく息をしている。 「さん、どうしたんです。」 「沙織!聖闘士って欲求不満になりやすいのっ!?」 13歳の少女をつかまえてぶつける質問ではないが、今のは興奮していて気付かない。 「また・・・とんでもない質問ですね、さん。ミロの事ですか?」 沙織は困ったように苦笑している。 沙織の困ったような顔を見たら、さっきまでの興奮が鎮まってきた。 「あ、ごめん、沙織。」 「いいんですよ。お茶入れて来ますので座っていて下さい。」 を落ち着かせるように沙織はにっこり微笑んで奥に歩いていった。 言われた通り座って沙織を待っていると大分落ち着いてきた。 「お待たせしました。どうぞ。」 沙織が二人分のカップを持って戻って来た。 「それで、ミロがどうしました?」 沙織は瞳を輝かせて促してきた。興味津々のようだ。 冷静になってくると、恋愛相談を沙織に話すのはなんだか恥ずかしい気がして来たが、自分の方から勢い良く駆け込んできて今更何でもないとは言えず、詳しい事は省いて沙織に話し始めた。 話を聞いた沙織はまたびっくりしている。 「あのミロがですか・・・。」 「あのミロって?」 「いえ、私の知っているミロは、ミロだけでなく他の聖闘士もそうだと思うのですが、冷静に物事にあたって常にスマートな印象があるものですから。」 そのミロが人目を気にせず自分をさらけ出している事に驚きを隠せなかった。 「でも、良いことではありませんか。」 「そ、そう?」 「はい。今までは黄金聖闘士としての責任や使命感が先立って、自分の感情を抑えてきたんだと思います。」 私は黙って沙織の話しに聞き入る。 「でも、さんと出会って、自分を表現できる相手にめぐり合えたんですわ。素敵な事ではありませんか。」 沙織は自分のことのように瞳を輝かせて喜んでいる。 私はというと。 ミロの、自分を表現できる相手が私だと言われ、隠しきれないほど顔を真っ赤に染めている。 「沙織・・・、恥ずかしい。」 「何故です。相手にそれ程思われて、これこそ女の幸せというものです。」 沙織、あなたいくつよ・・・ 「私だって、嬉しくないわけじゃないの。ただ、ミロに流されているみたいで、ミロに負けてるって思うの。」 沙織は首を傾げながら、 「勝ち負けの問題なんですか・・・?」 「ん・・、上手く言えないけど、私の方からもミロが好きって表現したいんだけどまだそこまで私の方は準備出来ていないというか、とにかくミロにはもう少し待って欲しいの。ああ〜何言ってんだろ私!」 本当っ、13歳の沙織に何言ってんの!! 沙織は暫く考えている様子だが、ぱっと私の顔を見た。 「今のミロの表現方法はさんにとっては強いということでしょうか。」 「・・・そうなるかな・・・。」 「だったら、さんもミロに負けないくらい強気でいればいいと思います。」 「え?」 「これからはミロに迫られてきても、・・この言い方恥ずかしいですね。そうなっても流されないように強気でミロに言い返せばどうですか?黄金聖闘士に負けないさんて絶対カッコいい筈です!」 沙織の最後の言葉は論点からずれていると思ったが、強気でいくというのは一理ある。 もともと私は気が強い方だし。 確かに今までは、ミロから甘い言葉を囁かれたり触れられたりするとどきどきして何も考えられなくなっていた。 「ありがとう沙織。とりあえず頑張ってみる。」 気持ちが楽になったら急に喉が渇いてきて、お茶を一気に飲み干した。 「はアテナの所に行ったらしいな。」 シュラが十二宮の遥か上を見ながら言った。 「アテナはどのような助言をされるのやら。」 ミロに向きながら薄く笑うシュラ。 に食らった痛みの残る顎を押さえながら、ミロは気にした様子も無かった。 「たとえアテナがにどのように言われようと関係ないさ。」 あくまで余裕のミロ。 「俺はの事が好きで、も俺を好きな事には変わりないからな。」 はっきり言い切ったミロにシュラは、こっちが恥ずかしいだろと思う。 「まあ、なんだ。あまりを困らせるなよ。その内、愛想をつかされるぞ。」 「そんな事にはならん。」 ミロは不適な笑みを湛える。 「に知恵と戦いの女神が味方しようと、負けん。」 シュラの呆れたような表情。 そんなシュラにミロはふっと笑った。 「今俺のこと、呆れただろう。」 「・・・多少は。」 「仕方がないのさ。」 がいるであろう上を見上げながら。 「何かをしないとが俺の前からいなくなってしまうのではないかと、いつも不安になる。」 意外だった。 今のミロの言葉は、への思いの深さが知ることができる言葉。 本心を曝け出すような事を言うとは、ミロには余裕がないということか。 への執拗な態度は、彼女を自分に繋ぎとめておくため。 シュラにはそう思えた。 ククっとシュラから声が漏れる。 ミロは自分に対して笑っていると思い、憮然とした表情になった。 「いや、すまん。に一生懸命になっているお前は可愛いと思っただけだ。」 「なっ、何を言うんだ!!シュラっ!!!」 ミロの背中に一気に悪寒が走り、素早くシュラから離れた。 「ミロ、勘違いするな。そういう意味で言ったのではない。」 まだ笑っているシュラに向かって思いっきり睨み返した。 ミロの睨みに怯む事なく、シュラはさっと片腕を上げるとその場から離れて行く。 「俺はもう行く。仲良くやれよ。」 そう残して。 「・・・シュラ。言い方をもっと考えてくれ。心臓に悪い。」 一人残ったミロはボソリともらした。 次の日から。 の態度が妙に強くなり、ミロはに触れられないでいた。 肩を抱こうものなら鋭い眼光を飛ばしてくるのだ。 「〜???」 訳が分からず、暫く困惑していたミロだった。 実はこの話、2004年のミロ月間(11月)にアップしようと思って去年の4月頃に書き始めたものでして。最後が中々決まらなくて、無理矢理終わらせた事は否定出来ません。だから最後がちょっと強引だと思う(笑) タイトルは「対等」のような意味です(by翻訳サイト)。 ホレた弱みで相手に言いたい事が言えないないんておかしい。同じ土俵で向き合いたい。・・・なんて事を最初考えてたような気がしますが記憶がおぼろげで・・・;;。 とにかく完成出来て良かったです。(笑) |