とめられない思い2/14。 今日は聖・バレンタイン。 沙織は卓上カレンダーを見ながら思いに耽る。 あげたい人がいる。 チョコレートをあげたら星矢はどう反応するだろう。 迷惑? 喜ぶ? 照れる? 私の気持ちに気付く? 星矢の性格からして一番はないかもしれないけど、四番目も可能性は低いわね。 二番・三番が星矢らしいかしら。 チョコレートを受け取った星矢の反応を想像し、小さな笑いが自室に響く。 あげてみようか・・・。 そんな気持ちが膨らみ始めた途端、はっと何かに思い立った。 もし、星矢にチョコレートを渡したら、その事を黙っていてくれるかしら? ・・・無理だわ。 絶対瞬や紫龍達に言うわ。 「沙織さんからチョコ貰ったけど、おまえらはどんなチョコ貰った?」 って、喜んで言うに決まってる。 まさか私が、自分だけにチョコレートを渡したなんて、星矢は夢にも思わないだろうし。 星矢だけにチョコレートを渡したと知られれば、私の気持ちが皆に気付かれてしまう。考えただけで恥ずかしくなってきた。 なら、氷河たちにもあげれば大丈夫かしら。 あ、でも。青銅聖闘士の星矢達にあげて、白銀聖闘士や黄金聖闘士にあげないのは彼らの矜持を傷つけてしまうかもしれない。 それならば、聖闘士88人全員にチョコをあげないと。 そこまで考えて、また、あっと思い立つ。 聖域には聖闘士以外もいる。 彼らは正式な聖闘士ではないが、雑兵だからといって区別はしたくない。 彼らも含めると半端ではない数になるが、グラード財団を利用すれば、出来ない事ではない。 沙織はう〜んと考えを巡らす。 しかし、またもや考えをストップした。 私は地上の愛と平和を守るアテナ。 地上の人々を愛している。それならば、聖域にだけチョコレートを渡すのは、他の人々をないがしろにしている事になるのでは。 世界の人口、およそ60億以上。 ・・・・・・・。 ダメ。無理。不可能。 沙織は机に突っ伏した。 ただ1人にチョコレートを渡すのに何故ここまで話が大きくなるのか、沙織は深い深い溜め息をついた。 星矢がもう少し女心に敏感だったら、こんな苦労はしないのにっ。 いつの間にか、星矢へチョコレートを渡す苦労が、星矢への不満に入れ替わる。 ・・・違うわ・・・。 アテナである私が、特定の人を思う事で、こんな苦労をするんだわ。 私がアテナだから・・・。 「星矢・・・。」 悲しそうに小さく呟くと、思いの中は星矢で占められた。 暫くそうしていたが、憂鬱な気持ちを振り払うように頭を振る。 「だめっ、こんな事では。考えても答えなんて出ないわ。」 好きになってしまった気持ちはもう止められない。 「今回のチョコレートは見送りにしましょう。」 いつか、周りを気にせずに渡せるまで。 「好きよ。星矢。」 誰に聞かせる事のない、自分しか知らない思いを静かに紡ぎだす。 |
幸せでなくてすみませんっ沙織さん!と、沙織さん大好きな人! ふっと浮かんだ話がこれだったので、ひねりも何もなく、浮かんだ通りに書き進めました。 私の沙織さんのイメージって強いです。心だけでなく腕っぷしも(笑)だって、知恵と戦いの女神ですよ。なよなよしてる沙織さんって思い浮かばないし、書けません。運命に負けないヒロイン大好きっ。 でも幸せな二人も大好きなので、いつか書いてみたいな。 ブラウザバックで戻って下さい。 |